全国の消費生活センター等に寄せられる、海産物の電話勧誘販売や送り付けのトラブルに関する相談が急増しており、2021年度は5,000件を超え、前年度に比べて2倍を超えています。
相談事例をみると、「新型コロナウイルスの影響で収入が減って困っている」などといって消費者の親切心や同情心につけ込む勧誘のほか、「買ってもらわないと困る」などの強引な勧誘も目立ちます。また、電話勧誘を受けた際に購入を断っても後日商品が届くなど、送り付けの事例もみられます。
そこで、トラブル防止のために相談事例を紹介するとともに、消費者への注意喚起を行います。
図.PIO-NET(注)にみる海産物の電話勧誘販売・送り付けに関する相談件数
※2022年6月30日までのPIO-NET登録分。
年度別相談件数:2017年度は1,963件、2018年度は2,150件、2019年度は1,652件、2020年度は2,280件、2021年度は5,189件です。
(注)PIO-NET(パイオネット:全国消費生活情報ネットワークシステム)とは、国民生活センターと全国の消費生活センター等をオンラインネットワークで結び、消費生活に関する相談情報を蓄積しているデータベースのこと。消費生活センター等からの経由相談は含まれていない。
〇「支援してほしい」と電話で言われて海産物を購入したが、届いた商品は金額に見合わないものだった
昨年12月の初めに自宅に電話があり、高齢の母と私で対応した。「新型コロナウイルスの影響で商品が売れず支援してほしい」と言われ、勧められた海鮮の詰め合わせ約1万8,000円を申し込んだ。12月の終わりに再度事業者から電話があり、配送手続きの確認をされた。数日後、代引配達で荷物が届いたので、受け取って中を確認したら、ズワイガニ爪、鮭、数の子松前漬け、ホタテ貝柱、イカ一夜干し等が入っていたが、値段相当とは思えない質の悪い商品だった。品物には手を付けず、そのまま冷凍している。商品に契約書が同梱されていたが、クーリング・オフに関する記載はない。また契約日は11月の日にちが記載されているが、電話がきたのはもっと後だと思う。クーリング・オフできないか。
〇その他、以下のような相談も寄せられています。
・「買ってもらわないと困る」と電話で強引に勧誘され、海産物の購入を了承したが断りたい
・高齢の母親が電話で海産物を勧められて断ったが、代引配達で商品が届き、代金を支払ってしまった
〇少しでもおかしいと感じたら、きっぱりと断りましょう
電話をかけてくる事業者の中には、「新型コロナウイルスの影響で収入が減って困っている」などと消費者の親切心や同情心につけ込み、消費者が断りづらい状況を意図的に作っている事業者や、「以前購入してもらったことがある」などと言って、消費者がすぐに断れないようにして執拗(しつよう)に勧誘する事業者がみられます。海産物を購入するよう迫られても、必要以上に情に訴えてくる、話の内容に覚えがない・おかしな点がある、連絡先を教えてくれない、勧誘が強引など、少しでも不審な点があった場合は、相手と話し込まずにきっぱりと断りましょう。
〇事業者からの電話勧誘で契約をしたときは、クーリング・オフができます
事業者からの電話勧誘を受けて契約をした場合は、特定商取引法に定める「電話勧誘販売」に該当します。もし、電話で海産物の購入を承諾してしまっても、特定商取引法に定める書面を受け取った日から数えて8日以内であれば、書面またはメール等によりクーリング・オフを行うことが可能です。
〇一方的に商品が届いても受け取らない!受け取ってしまっても代金を支払う必要はありません
電話で勧誘され、海産物の購入を承諾していないにもかかわらず、一方的に商品を送り付けられているケースが多くみられます。このような場合は、送り主の名称や所在地をメモするなどして事業者の情報を控えてから、受け取りを拒否し、代金を支払わないようにしましょう。
万が一、代引配達で代金を支払い商品を受け取ってしまった場合でも、一方的に送り付けられた商品については代金を支払う必要はありません。事業者に身に覚えのない商品であることを伝え、返金の依頼をしましょう。商品の受け取り後に代金を請求された場合も、応じないようにしましょう。
〇トラブルになったときは消費生活センター等に相談しましょう
不安に思った場合や、トラブルにあった場合は、一人で悩まず最寄りの消費生活センター等に相談しましょう。
*消費者ホットライン「188(いやや!)」番
最寄りの市町村や都道府県の消費生活センター等をご案内する全国共通の3桁の電話番号です。