平成28年に電力の小売全面自由化が、平成29年にはガスの小売全面自由化が行われ、その後、電気は6年、ガスは5年が経過しました。
国民生活センター及び各地の消費生活センター等並びに経済産業省電力・ガス取引監視等委員会には、消費者の皆様からの相談が引き続き寄せられています。
特に、令和4年4月1日からは、成年年齢が20歳から18歳に引き下げられ、18歳、19歳の若者は、親の同意なく一人で契約をすることができるようになる一方で、未成年者取消権を行使することができなくなりました。
若者も含めた消費者の皆様への注意喚起・トラブルの再発防止の観点から、相談事例などを紹介するとともに、消費者の皆様へのアドバイスを提供いたします。
また、消費者庁においては、この分野で消費者を欺罔(ぎもう)する勧誘については、特定商取引法に基づき厳正に処分等を行ってまいります。
国民生活センター及び消費生活センター等への相談状況(PIO-NET(※2)より)
図1.電力の小売に関する相談件数の推移
年度別相談件数:2014年度は27件、2015年度は981件、2016年度は1,307件、2017年度は1,953件、2018年度は4,997件、2019年度は6,090件、2020年度は6,199件、2021年度は8,013件、2022年4月~6月までの件数は1,606件です。
図2.ガスの小売に関する相談件数の推移
年度別相談件数:2016年度は109件、2017年度は521件、2018年度は700件、2019年度は876件、2020年度は640件、2021年度は1,043件、2022年4月~6月までの件数は185件です。
※2 PIO-NET(パイオネット:全国消費生活情報ネットワークシステム)とは、国民生活センターと全国の消費生活センター等をオンラインネットワークで結び、消費生活に関する相談情報を蓄積しているデータベースのこと。本資料の相談件数は、令和4年6月30日までに登録されたデータである。消費生活センター等からの経由相談は含まれていない。
※3 2022年4月~6月の相談件数。
3カ月前に契約中の電力会社を名乗る男性が来訪した。「アパート全体で電力のプランが変わる」と言われ、指示された通りにスマートフォンから申し込んだ。「後で本社から確認の電話があるので、変更を了承していると伝えるように」と言われ、男性は帰った。その後冷静になり、契約切り替えの勧誘だったと気づいて、確認の電話できっぱりと断った。しかし先日、電気料金の通知と、ガス料金のマイページができたとのメールが届いた。勧誘された電力会社に問い合わせると、昨年11月に契約していると言われたが、契約書面等も受け取っていない。電気とガスの契約を戻したい。
〇その他
・検針票を見せ、電気料金が安くなると言われて契約を切り替えたが、実際は従前の2倍の金額になった
・市場連動型プランとの説明を受けておらず、電気料金が高額になった
・電気の勧誘を断っているのにガスの契約先からの電話勧誘が続いた
・代理店から勧誘を受け個人情報を伝えてしまったが、どこの電力会社からの勧誘かわからなくなってしまった
・以前契約していた事業者から高額な請求がきた
などの相談も寄せられています。
・契約の意思がない場合ははっきりと断りましょう
・勧誘してきた会社と新たに契約する会社の社名や連絡先、契約条件をよく確認しましょう
・検針票や契約情報は慎重に取り扱いましょう
・契約を変更してしまってもクーリング・オフ等ができる場合があります
・市場連動型の料金メニューについてのお問合せが増えています
・契約している電力会社から契約内容の変更の案内を受け取った場合には、変更内容をよく確認しましょう
・契約している会社が事業撤退する場合でもすぐには電気・ガスは止まりませんが、お早めに電力会社・ガス会社の切替手続を行ってください
・電力会社・ガス会社の切り替えは、新たに契約する電力会社・ガス会社に電話等で申込みをすることで手続が完了します
・電力・ガス会社へ電話がつながらない場合でも、慌てず対応しましょう
・困った場合にはすぐに相談しましょう
*消費者ホットライン「188(いやや!)」番
最寄りの市町村や都道府県の消費生活センター等をご案内する全国共通の3桁の電話番号です。
*経済産業省電力・ガス取引監視等委員会の相談窓口:03-3501-5725